
暮らしのウェルネスマガジン Vol.4 : 2026-09-09 UPDATE
きれいにしすぎると、大切なものまで洗い流してしまう。
きれいであることは、気持ちがいい。けれど、きれいにしたいと思うあまり、洗いすぎていませんか。
肌を何度も洗う。
強い洗浄剤で汚れを根こそぎ落とす。
家の床や柱をいつも新品のように磨き上げようとする。
汚れと一緒に、本来そこに必要なものまで落としていることに
私たちはなかなか気づきません。
肌には、潤いがあります。
革には、油分があります。
木には、長い時間をかけて育った艶があります。
どれも美しさを保つためになくてはならないものです。
不要なものを落とし、必要なものは残すこと、
お手入れはその加減を知ることがとても大切です。
清潔にすること、素材の力を保つこと、
その両方を考えるのが、お手入れの本質であると思っています。
私が引越した古い家を掃除していると、そのことを何度も教えられました。
自然素材でつくられた壁や柱は、強い洗剤で一気に汚れを落とすようなものではありません。
だから私は、純石けん水を含ませた布で、様子を見ながら、少しずつ拭いています。
長い年月の汚れは落ちても、木が重ねてきた色や艶は残っている。
経年変化した素材の美しさ、本来の表情が戻ってきたように見えます。
それもそのはず。
近所の方によれば、以前のこの家の持ち主は、豆腐のしぼり汁を使って
床や建具を丁寧に磨いていたそうです。
その手入れの跡は、何十年も経った今も家の中の隅々に残っています。
これからは私が時間を重ねながら良い状態を保っていきます。
そして、古い家だけの話ではなく、肌も、髪も、衣類も、革製品も同じ。
きれいにするために、何を使うか。
どこまで手を入れるかを、少し立ち止まって考えてみる。
ものの声を聞くように。
そのものが持っている良さを残しながら、
これからも心地よく付き合えるように健やかな状態を保つことができます。
そもそもお手入れとは、ものを深く理解するためにあるのかもしれません。







